婦人科産科 井原クリニック
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診療内容
■不妊治療
不妊状態とは原因妊娠の成立診断可能な原因について
妊症の基本検査不妊症の二次検査一般不妊治療の具体的手順
[不妊状態とは]
2年以上(最近では1年以上と云われている)夫婦生活を営んでいても妊娠に至らない場合を不妊症といい、カップルの約10%の方が不妊状態にあります。


[原因]
不妊の原因は単一ではなく、大きく分けても10以上の因子が考えられています。その中の一つあるいは複数の因子が関与しており、治療は原因によって異なります。


[妊娠の成立]
図1 受精と着床のしくみ
1 腟内に射精された精子が頸管から子宮腔へ入り子宮の両端から卵管内へ入る(精子の上昇)。
2 一方成熟した卵胞からタイミング良く排卵された卵が卵管采によって捕らえられ(排卵)。
3 卵管膨大部で卵と精子が合体し、受精卵となる(受精)。
4 受精卵は分割を繰り返し、胚となって卵管の中を移動し子宮腔に入る(卵分割)。
5 子宮腔から子宮内膜へもぐり込む(着床)。
これらのステップが全部うまくいって妊娠が成立します。


[診断可能な原因について]
妊娠のための経路のどこかが障害されていると妊娠しません。検査で診断が可能な不妊の因子について説明します。

1. 男性側の問題 ―男性因子― 不妊の約30〜40%。〔図(2)〕
  (a) ペニスの勃起が不充分で腟内へ射精がうまく出来ない。
(インポテンツ、逆行性射精など)
  (b) 精子が少ない。形の悪い精子が多い。動きが悪い。
造精機能障害(精索静脈瘤、停留精巣、染色体異常など)
精子成熟・保護障害(副睾丸炎、前立腺炎など)
精路障害(輸精管閉塞など)

2. 子宮の入口の粘液(頸管粘液)の異常―不妊の約15%。
排卵日の前後には子宮の入口に水の様な液体が出てきます。
精子はその中を泳いで子宮の奥へと上昇して行きます。〔図(3)〕。
頸管粘液の状態が悪いと精子が奥へ入ってゆけません。

3. 卵管の異常―卵管因子―不妊の約35%。〔図(4)〕
子宮と卵巣とをつなぐ細い管である卵管はクラミジア感染などでよく
通らなくなります。完全につまってなくても、卵管の出口辺りが癒着
していると、卵巣から排出された卵を捕らえることが出来ません。
  (a) 卵管閉塞、狭窄(クラミジア卵管炎など)〔図(5)〕
  (b) 卵管周囲癒着(骨盤腹膜炎、子宮内膜症など)〔図(6)〕
  (c) 卵管采の変形や捻れ〔図(7)〕


4. 排卵障害―排卵因子―不妊の約20〜30%。
卵巣のなかで卵子を包む卵胞が大きくならず、卵胞の破裂→卵の排出という機序が巧くゆかない事があり、その場合月経が来ません。〔図(1)〕〔図(8)〕
ストレスやダイエットによって脳内のホルモン中枢である視床下部の働きが悪くなるケイス。下垂体前葉から分泌されるプロラクチンというホルモンが多くなって排卵が障害される場合。卵巣内に小さな卵胞が数多く見られるが、それらが大きくならず排卵しない、"多嚢胞性卵巣"という状態、などがあります。

5. 受精障害―受精因子―不妊の約5%。
卵管の膨大部で精子と卵が出合い、卵の中に精子が進入して、受精となるはずですが、これが巧く進まなくて妊娠しない場合があります。〔図(9)〕

6. 着床障害―受精卵が子宮内膜にもぐりこめないもの。
  (a) 子宮の異常―子宮因子―不妊の約15%。
    @ 先天的な子宮奇形。〔図(10)〕。
A 後天的な子宮筋腫、腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮腔癒着症など。〔図(11)〕。
  (b) 黄体機能不全に伴うもの―不妊の約10%。
排卵した後に卵胞を包んでいた細胞群が黄体細胞に変化し黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。黄体から充分にホルモンが分泌されない場合と子宮内膜がホルモンに反応しない場合、黄体機能不全といい、不妊の原因となります。〔図(12)〕。




7. 免疫が関与する不妊―免疫性不妊―
女性の体内に精子に結びついて、精子の運動性や受精能力を損ってしまう"抗精子抗体"〔図(13)〕が出来ていることがあります。
卵の膜と結びついて卵の発育を障害する抗体があることもあります。
男性の身体のなかに精子と結びついてその働きを障害する抗体があることもあります。
これら抗体が不妊に関与している場合を、免疫性不妊と呼び、不妊の5〜10%にかかわっていると考えられています。
8. 機能性不妊、原因不明不妊
一般的な不妊検査(精液検査、頸管粘液検査、フーナーテスト、基礎体温、超音波検査、卵管疎通性検査、など)で異常を認めない例は10%以上あり、これらを機能性不妊と呼びます。
さらに詳しい検査をしても原因が判らない例を原因不明不妊といいます。


近年晩婚化が進んでおり、35歳を超えて妊娠を考えるカップルも増えています。
女性が35歳を過ぎると卵巣の中の卵子の数が減少してきて、卵子一個一個の受精能力も低下してきます。
原因不明不妊の多くは卵子の機能に問題があると考えられるようになっています。
従って以下のような治療が推奨されるようになりました。



   40歳以上の人: すぐにFSH-AIHを2周期試み、妊娠なければIVFをする。

 35歳〜39歳の人: 不妊期間が1年以上の人は、
FSH-AIHを3〜4周期試み妊娠なければIVFをする。

不妊期間が1年未満の場合は、
FSH-AIHを6周期試み、妊娠なければIVFをする。

  35歳未満の人: 不妊期間が2年以上の人は
FSH-AIHを6周期試み妊娠なければIVFをする。

不妊期間が2年未満の場合は、
タイミング療法を試みる。

【用語解説】

FSH(卵胞刺激ホルモン)
AIH(夫の精子を使った人工授精)
IVF(体外受精)
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